理事長所信

~はじめに~

 日本の青年会議所運動は、戦後の荒廃の中から経済再建の使命に燃えた祖国を愛する青年の、強い情熱が生み出した自然発生的運動であり、自主性を貫く青年らしい気概を持った運動として1949年に始まりました。
 羽島青年会議所は、羽島郡、市を活動拠点として全国396番目、1968年に創設され、昨年までの45年に亘ってその時代を彩った先輩諸兄の努力によって、社会的信頼を掴み、行政、諸団体、市民の皆様の理解と協力によって現在青年会議所運動ができる事に対して、私たちは感謝を忘れてはなりません。
 現在の日本では、50兆円にも上る国の借金問題、デフレによる経済危機、東日本大震災の復興が一向に進まない状況、領土領海侵犯による安全保障問題TPP問題といった政治経済の問題や、毎日のように報道される全く理解できないような凶悪犯罪、地域のたからである子どもたちの、いじめや教育問題など数えあげたらきりがないほど問題を抱えています。
 しかし、東日本大震災後世界中から多くの賞賛を受けた、苦しい中でも思いやりをもち、市民一人ひとりが規律を守り、協力しながら懸命に復興に向かう姿から、私たちは改めて日本人としての精神性のすばらしさに誇りを持つことが大切であり、自分たちが住むまちについて意識や行動を省みる必要があるのです。
 それは、様々な問題に対して他人任せにする無関心な状態や、次世代に先送りすることなく「私たちのまちはわたしたちの手で変えていこう」という自覚と気概をもって主体的に行動することであり、「将来どうなるのか」「いつかだれかが・・」と手をこまねいていては現状維持どころか、衰退していくことでしょう。
 だからこそ、個人個人が確固たる価値を創造し理想のまちの姿をイメージして未知の領域に挑戦していくことが大切であり、そんな思いを市民の皆様や様々なコミュニティーの皆様と共有できたなら、「明るい豊かな社会」の実現に繋がると信じています。
 本年度46年目を迎えるにあたり50周年、またその先へと繋げる年としてメンバー一人ひとりが自主独立を目指し、市民の皆様や様々なコミュニティーの方々と協同関係を築きながら、愛するまちに新たな価値と賑わいを創造するのです。

~市民意識に変革をもたらし、新たな賑わいを創造しよう!~

musiga 私たちが活動エリアとしている羽島は、日本のほぼ中心に位置し古くから川に囲まれた地形を活かし交通の要所として発展してきました。現在では、国道や高速道路、鉄道や新幹線という大変アクセスの面で恵まれた環境に囲まれ、私たちはその恩恵を多くうけております。また、このまちには有形無形の様々な文化的資源が存在しており、先人たちはこの地形と共生し独自の風土を創りあげ発展した歴史があります。
 しかし、このまちに住む人々は本当にその魅力を認識し先人たちに対して感謝しているでしょうか?あるいは、このまちに対して誇りや自信を持っているのでしょうか?
まちに対しての魅力を知ること、誇りや自信を持つことは郷土愛に繋がり、郷土愛を持つ人はこのまちの発展に自らの才能を生かしていきたいと思うでしょう。しかし郷土愛が無ければその才能も外部へ流出し悪循環をもたらすのです。
 昨年、私ども羽島青年会議所は羽島市役所市議場において、未来の優秀な人材の流出を防ぐため、子どもたちに羽島の理想の未来図を自由に発言してもらい行政に提言していく中で未来の人材を育てていく一助とする事業を行ってまいりました。
それを踏まえ、本年度は子どもたちの未来図を現実のものとするために次の段階に進めていきます。
 それは有形無形の魅力を持ったコミュニティーと共に、このまちにどんな魅力があってどんな可能性があるのか改めて考え、そのうえでどんなまちにしたいかという理想の姿を共有し、新たな賑わいを創造するのです。
 市民一人一人が、主体性をもってそれぞれのコミュニティーで行動をおこし新たな賑わいを創造できたなら、刺激された様々なコミュニティーがさらに参画し、より大きな賑わいをおこすことができ、ひいては市民の意識に変革をもたらすはずです。
 

~確固たる価値の確立、自主独立したリーダーになろう!~

 JCメンバーの大半は経済人であり、経営者やリーダーとして知識の向上と自己研鑽行い、自社を持続、発展させるための経営感覚を身に着ける必要があります。
しかし、団塊ジュニア以後の世代といわれる私たちは事業継承を目前にして、自主独立したリーダーとして力を発揮できているでしょうか?変化の激しい時代といわれるなか、自分ができない理由を社会情勢や経済状況のせいにしてはいないでしょうか?
 リーダーとして確固たる価値観や目標を持ち、それを実現すために自ら決断し責任を伴った行動ができる人、つまり自主独立した大人の振る舞いは、それだけで他人に説得力を持つはずです。
 そのために、自らを知る謙虚さ、現実を知り努力する忍耐力、自らの確固たる価値を確立し理想の姿を思い描く創造力、実現させるための計画的な実行力、責任を伴う決断力を身につける必要があります。
 そのヒントこそ、人生の学び舎といわれるJC活動の中にあるのです。様々な事業に向けて、目標を立て互いの価値観をぶつけ合い侃々諤諤の議論を交わし実現に向けて計画を実行していくプロセスこそ、メンバー各々を自主独立したリーダーへと成長させるのです。

~自ら考え、決断し、行動できる子どもを育もう!~

 「人は人との出会いによって磨かれる」とは、大人だけにいえることでしょうか?
それは、子どもたちにもあてはまることであり会話や対話の中から相手の表情や感情を、読みとり、周りの人たちと協同関係を築く中で人を思いやる心や自らの価値観を育んでいくのだと思います。また、教育の原点は家庭であり、子どもたちの人生最初の先生は親であります。私たちの年代は親として、地域の若手リーダーとして次世代の担い手を育てる役割を持つ上で責任世代といえます。親は子どもに家庭や社会の中で正しい価値観を身につけ自発的に行動できるように育てることが大切であり、そのためには自らが「親とは何か」を改めて学び、子どもに「人生の先輩」として接する一面を身につけなければなりません。子どもは自分と接する大人たちの姿を見て学び取り成長していきます。だからこそ、子どもたちに接する大人たちの責任はいつの時代においても重要なのです。
 しかし、現代の子どもたちを取り巻く環境は大きく変わり、情報化社会といわれるように携帯電話・メールやインターネットの普及により生活スピードが格段に変わってしまいました。それによって人に対する意志の伝達方法が変わり、直接接することが少なくなってしまったことによって、他人に対しての希薄さを深刻化させコミュニケーション能力が低いように感じます。
 子どもたちに、自ら考えたことにチャレンジして最後までやり遂げるたくましさや、実体験の中から人を思いやり感謝する気持ちや社会の中で正しい価値観を身につける機会を提供していきましょう。
 

~JC活動の魅力を発信し未来の同志となるメンバーを発掘しよう!~

 経済の悪化や団塊ジュニアと呼ばれる世代の卒業、それと共に人口も減少していき多くのLOMが会員減少に悩み組織運営に苦しんでいます。
JCは、世界規模の組織であり一番の特徴として単年度制が挙げられます。このシステムは毎年組織が一新され、それによってメンバーは毎年違う経験を積むことができる中で、様々な知識や経験を積むだけではなく、それぞれに違う価値観をもつメンバーとの出会いによって新たな協同関係築く過程で、侃々諤々の議論を繰り返し互いの価値観をぶつけ合いながら自身の価値観を広げられる非常に優れたシステムです。まちのために事業を作り上げていく過程でメンバーは成長し郷土愛を育み、経営者として、地域のリーダーとしてなくてならない存在になっていくのです。
 様々なコミュニティーにおいてリーダーの存在は不可欠であり、だからこそリーダーの登場をただ漠然と待ち望むのではなく、青年会議所の魅力を広く発信しながら共に参画しやすい事業を展開して、卓越した人材を発掘し育成していくことこそ「明るい豊かな社会」築くために必要であり、新たな人材の発見はJC運動を継続させることだけではなく、現役メンバーの価値観をさらに広げることとなり相乗効果で、さらに魅力あふれる団体になっていくでしょう。

~JCの価値と魅力を認識しよう!~

 何を目指すのか?何のためにJCをやっているのか?
メンバー各々は、経済の悪化という社会情勢のなかでも、家庭や職場とのバランスを取りながら必死に貴重な時間を持ち寄ってJC運動を行っています。
 なぜならば、メンバー各々は「明るい豊かな社会」の実現という理想の下、守られた場所から一歩踏み出し、志を同じくする異業種の仲間と共に、自らの価値を確認し磨いていくプロセスの中で自分自身が成長していることを実感できるからであり、それは次なるステージへの原動力となり自らが気付かないうちに、周りから頼られる存在として様々なコミュニティーにおいてなくてはならない存在となるからなのです。
 また、厳しい環境で志を同じく持つ仲間との協同関係を築くことは、メンバーにとって掛け替えのない一生の友情を築くことができるでしょう。
 だからこそ、メンバーには限られた時間の中で、自身を取り巻く環境と時間を効率よくマネジメントする能力が必要であり、そのヒントこそJC活動の中に学ぶことができるでしょう。メンバーであるということに自覚と誇りを持ち次代を担う青年として共に、JC運動に邁進していきましょう。

~むすびに~

 私自身、入会から8年の間に様々な経験と出会いをいただき、リーダーとして多くの気づきをいただくことができました。リーダーとして成長する大前提として、まずメンバー一人一人が社会人として責任感を持ち、基本である時間や約束を守るといった当たり前のことを当たり前に行ってください。そのうえで、それぞれに役を担い仲間と成果を上げていくプロセスこそあなたを自主独立したリーダーへと成長させるのです。未知の領域に一歩踏み出すことは、勇気が必要です。そんな時こそ志を同じくする仲間が岐阜県中に、日本中に、そして世界中にいることを思い出しましょう。
 「空想はすなわち実行の原案」という言葉がありますが、そんなJCメンバーとなら必ず実行し「明るい豊かな社会」を実現できると信じています。自身やまちに眠る可能性を引き出し果敢に挑戦しながら、共にJC運動に邁進していきましょう!

第46代理事長
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